劇場版ハイキュー~ゴミ捨て場の決戦~ 烏野VS音駒は見るべき?あらすじとレビュー!

アニメ・漫画

2024年2月16日から公開している『劇場版ハイキュー~ゴミ捨て場の決戦~』
春高バレーでの烏野VS音駒の1戦に焦点をあてた映画だ。

話題になっているが映画館で見るか迷っている・・・
そのうちサブスクで配信されるだろうしそれまで待つか・・・

そんな方にはぜひ映画館で見ることを強くオススメしたい。
ハイキューファンと、特に”昔ハイキューが好きだったが今は離れてしまった人”にも見てもらいたい映画である。

自分は開始10秒(体感)で泣き始めることになり、涙を拭くことが少し気まずかった。

『ハイキュー!!』公式サイト
MOVIE|アニメ『ハイキュー!!』公式サイト (haikyu.jp)

概要・あらすじ

2012年~2020年まで週刊少年ジャンプで連載されていた『ハイキュー!!』
バレーボールに魅せられた高校生たちの熱いスポーツ漫画だ。

今回の映画は、主人公日向翔陽が所属する烏野高校が、春の高校バレー3回戦目で対戦する音駒高校との1戦を描いた映画である。
3年生の引退がかかっている両校とも絶対に負けたくない試合なのだ。

加えて、烏野VS音駒の1戦はカラスVS猫を見立てて「ゴミ捨て場の決戦」と呼ばれ、他校の試合と比べて烏野としては思い入れもあり、他者からの注目度も高い組み合わせである。

作品内で何度か言葉にされる「もう一回がない試合!」がついに映画化された。

ハイキューファン人気も高く、映像化を待ち望んでいた人も多いのではないだろうか。

映画では烏野(翔陽)と音駒(研磨)が初めて出会った場面から始まり、現在の時間軸に戻り試合はすぐに開始する。

1セット目から双方譲らない試合展開となるわけだが、体力を削られながらも「負けたくない・まだ試合をしていたい」という選手たちの気持ちもあり激闘の末計3セット行われた。

試合が進んでいく中で、各選手たちの気持ちの変化や現在の自分が出来上がった背景など、合間合間に丁寧に差し込まれていく。

はたしてどちらが勝ったのか、
各セットの勝敗は映画館もしくは原作漫画を実際に読んで知っていただきたい。
(ネタバレという時期でもないので、もちろん検索すると大量にヒットはする)

映画を見るべきポイント5つ!

作品内容のおすすめポイント(黄色)と、
映画館で見るべきポイント(青色)を合わせて5つ紹介する。

①キャラクター全員が主人公である

漫画の設定上は日向翔陽と影山飛雄の2人がメインキャラクターではあるが、
ハイキューの各試合を語るにはこの2人だけでは成り立たない。

音駒VS烏野の試合でも同様のことが言えるのだが、
各キャラクターが主人公となる瞬間がそれぞれ描かれていて、2時間に収めるためにという理由で大幅カットされることもなかったように感じた。

もちろん映画内の登場人物”全員”となるとそれこそ2時間では到底収まらないので分量に差はあれど、
春高音駒戦の良さの中心にいるキャラクターは確実に全員主人公だったと言える。

この場面の、この人は、こういう感情で、その感情はどこから来て何に繋がっているのか、
必要なシーンをこまごま挟みつつ丁寧に描いてくれていた。

各キャラクター1:1での重要シーンが過去現在ともにあるため、
ハイキューを見ていた人からすると過去の好きなシーンや好きなやり取りも頻繁に出てきて懐かしい気持ちになるはずだ。

ハイキューファンとしては、キャラクターの感情が動く重要な瞬間を大スクリーンで立ち会えることがうれしい。

②バレーボールのたのしを具現化したような「黒尾鉄朗」という人物

音駒戦ではやはり音駒高校側のキャラクターに意識が向けられ、その中でも孤爪研磨が中心人物ではあるのだが、
”烏野含むコート全体で” ”この1戦を” 見たときに鍵を握るのは間違いなく黒尾鉄朗だと自分は思う。

烏野VS音駒はどの試合よりもバレーボールのたのしさにフォーカスされた試合だと思っており、
それが徐々に視覚化されていくのが月島と研磨の2人である。

他要因もあれど、いずれのキャラも黒尾からたのしさを学び、黒尾によってバレーボールそのものにハマっていくのだ。

黒尾は二人に毎度絡みに行くのだが、塩対応されたとしても何を言われようと、
途中で見限ることなく絡みに行き続ける根気強さと負けない強靭なメンタルを持っている。

”見限らない”ところが黒尾の人間として素晴らしい点だ。

見ている側からすると黒尾がたのしさを伝えているように感じるが、
正直黒尾本人は「自分はたのしさを伝えたい・伝えている」という自覚はないようにも思える。
もちろん、月島と研磨が根本的にはバレーボールが好きで続けている、という点には気付いていると思うが。

昔も今も変わらずバレーボールが本当に大好きで、
純粋にその魅力を好きな人たちと共有したくて、試合がしたくて、
”人”が、”バレーボール”が、ただ好きな人なのだと思う。

研磨が試合途中に発した一言と、月島の心の底から楽しそうな笑顔が答えだろう。
元々冷めていると思われがちな二人を、ここまで明確にたのしいと分かる言動をさせるのが黒尾鉄朗なのだ。

勝ち負けの話ではないと理解しつつ、こればかりは黒尾の勝ちだと言いたい。

③映像のカメラワークと人称視点の切替

特に3つ目の要素が映画館で見るか、サブスクで見るかの違いが顕著に表れるはずだ。

アニメ放送時から言われていたが、ハイキューはカメラワークに結構力を入れてくれている。

ただボールを追うにしても、その画角で!?その目線で!?その速さで!?と思ってもみなかった視点映像が頻繫に出てくる。

本映画でもさまざまなキャラクターの一人称や予想もしなかった三人称視点があった

映画後半に研摩目線で見える世界が数分続くのだが、このシーンは特に精度が高く、
あの時、私たちは確かに「自分がコートに立って試合をしている」と思わされた

忙しなく動く目線と、安定しない視界
けれどもボールは追い続ける、他メンバーの動きも把握する
セッターとしてどこを見て何をしなければいけないかを一緒に脳みそ働かせて考えさせられた。

また、応援席目線が多かったのも印象的だった。
単に応援席を映しているのではなく、応援席に座っている1人としての一人称視点のものだ。
応援団と一緒に、会場の雰囲気に包まれながら試合を見ていたし応援していた。

全体的には、平面ではなく”高さ”が意識されているカメラワークになっていることが素人目でも分かるほどに明確に演出されていたように感じる。

バレーボールというスポーツ自体が”高さ”あるものだが、
映像上でもX軸だけでなくY軸はもちろんのこと、Z軸もプラスされ奥行を感じたうえでの”高さ”が伝わってきた。

この演出を大画面で見ないのはもったいない。
”損する”ではなくあえて”もったいない”と書くが、もちろん大画面で見なくても何ら問題はない。
ただ、満足度100を120にすることができるため、ぜひ120の満足を感じていただきたい。

④制作陣の作品愛とファンへの愛

制作陣が劇場版ハイキューを良いものにしてくださろうとしたことがひしひしと伝わるのに加えて、新旧含むハイキューファンへの愛も伝わる映画だった。

上記で述べているような
登場キャラの感情が動く瞬間の描き方や、話の繋げ方、BGMを使う場面、静と動の使い分け、カメラワークなど、
多くのスタッフの方々がひとつひとつ丁寧に作り上げてくださった。

もう一つ感じたこととして、
ファンとしては、作品を読んでいるからこそわかる、選手と見ている側にしか分からない感情や事情・背景がダイレクトに伝わることがうれしいんだなと本映画を見ていて感じた。

作品内にいるモブキャラや試合会場にいる一般客では分からないことが、
作品外の世界線でハイキューを見ているファンには分かることがある。

作品内外で生きている世界が違うとは言え、
愛すべきキャラクターの感情をファン側が読み取り共有できていることは事実だ。

特に研磨が「たのしい」と言った後の翔陽と黒尾の喜びは、作品内に存在している他キャラクターには聞き取れないし、伝わらないものでもある。
1作品として初めから読んでいるファンだからこそ理解できたシーンだ。

また、ポイント①の全員主人公になる場面作りとして大活躍していた、ファンにとっては嬉し懐かしい場面が充分すぎるくらいに出てきたことによって、当時抱いた感情や記憶が蘇ってきた。

ハイキューと青春をともにしていた人からするととても嬉しい演出である。

余談だが、初期のアニメ映像はやはりキャラデザが原作漫画寄りだったなとも感じた。
映画はアニメ用のキャラデザになっていて、それはそれで見やすいので個人的には好きである。

⑤SPYAIRの主題歌とエンドロール

アニメ主題歌もSPYAIRが担当されており、当時もハイキューと合うかっこいい主題歌だと初手で感じたことを今でも覚えているが、今回の主題歌「オレンジ」も素晴らしかった。

最期に流れるエンドロールも映画ならではだと思っており、
内容を振り返りながら、「先ほどまで見ていた映像はこれだけ多くのスタッフさんが携わって完成した作品なのか」、と作品に対してのありがたさを実感する時間だと思っている。

今回も作品が素晴らしかったが故にエンドロールの時間もしっかりと目に焼き付けていた。

エンドロールは映像あり・なしの2パターンあるが、本映画は映像がなく曲とクレジットのみだった。

映像のついていないエンドロールを見ながら主題歌歌詞をダイレクトに耳にする
この最後の瞬間を映画館で感じることに意味があるのだと思う。

ここでやっと1つの映画が自分の中で消化されていくのだ。

総論

総論として、「ナイスゲーム」の一言に尽きるし、拍手を送りたくなる映画だった。

近々応援上映も行われるらしいが、これは試合会場にいる人間として声をかけたくなる作品だ。
(言えるならば「チャンスボール!!」と一緒に叫びたい。)

作品を作り上げてくださった関係者の方々へは感謝をお伝えしたいし、ぜひ盛大に打ち上げしていただきたい。

そして烏野と音駒のメンバー、お疲れ様。
ナイスゲームでした。

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